【訟】争いごとには我欲を諭して冷静を心掛けたい
拝啓、お元気ですか?
今朝の易のお告げ、穏やかではない卦が出てしまいました。
6.天水訟(てんすいしょう)
訟は孚(まこと)有りて窒(ふさ)がる。 愓(おそ)れて中すれば吉。 終えんとすれば凶。 大人(たいじん)を見るに利あり。 大川(たいせん)を渉るに利あらず。
「訟」とは訴える、争うを意味します。
こちらの「訟」の卦辞を訳するとこのような意味になるでしょうか。
訟は孚(まこと)有りて窒(ふさ)がる。 愓(おそ)れて中すれば吉。 終えんとすれば凶。 大人(たいじん)を見るに利あり。 大川(たいせん)を渉るに利あらず。
争いは自分は間違っていない、真ありと思っているから行き詰まる。中庸・公正な心で慎んで冷静に解決すれば吉。強引に我を通そうとすれば凶となる。 公平な有識者の意見を聞くこと。一任すること。解決するまでは大川を渡るような冒険をするべきではない。
先の「革」の卦といい、今日の「訟」といい穏やかではありません。
ただなぜこのようなお告げが出るのか分かります。
物事を動かすとき、発展や改革をする段階では揉め事も生まれやすいのでしょう。それが性(さが)というものです。私たちは一人で生きているわけではないのですから。それぞれに感情があり、主張があり、利害がある。人間は我欲の生き物です。これは逃れることのできない事実。
だからこそ、自分の「我欲」に気づく必要がある。
卦辞にある通り、自分は間違っていない、我に真ありと思っているから争いごとは余計に厄介なことになるのです。それぞれに言い分があるのは当然。だからこそ心がけるのは「冷静な心」。中庸・公正な心で慎んで冷静に解決すること。強引に我を通そうとすれば争い事は余計厄介なことになる。
また爻辞では次のように出ています。
【初六】問題はあってもここは穏便に収めるべきである。
爻変→10.天沢履(てんたくり)
剛に対して剛で向かえば事は紛糾するだけである。剛には柔で対処すると道は開く。
【六三】話のよくわかる年上に従えば吉。
爻変→44.天風姤(てんぷうこう)
当事者以外の第三者を交えて流れを変えた方が良い。
易経を学び始めてから、つくづく人間の我欲がトラブルを引き起こすのだなぁと思います。我欲に飲み込まれてはいけない。自分の我欲の存在に気づき、上手に諭すこと。
特に上昇気流の時ほど気をつけたいものです。