「褒めて伸ばす」ための本当に正しい褒め方とは
拝啓、お元気ですか?
「褒めて伸ばす」とよく言いますよね?
子育て、学校教育、社員教育などをしていく上で、私たちは出来るだけその相手のいいところを「褒めて」育てようとします。でもこの「褒めて伸ばす」、一歩間違えると相手の才能を伸ばすどころか低くすることになります。
今日はそんな「褒めて伸ばす」の正しいやり方について。
褒めるにしても、どこを褒めるかが大切です。
その人のテストの成績や営業センスなど「才能」を褒めることを『個人称賛』と言います。それに対して、その人が頑張っていることや、前抜きに努力していることなど「情熱や努力」を褒めることを『プロセス称賛』と言います。
さて、どちらを褒めた方が良いでしょう?
こんな有名な実験があります。
小学校5年生の児童達に問題解決課題を与え、一部の児童には「頭の良さ」を褒め、一部の児童には「その取り組みぶり」を褒め、一部の児童には高得点であったことだけを伝えました。その後、もっと難しい課題を与えると、「頭の良さ」を褒められた児童が一番成績が悪く、「その取り組みぶり」を褒められた児童は他よりもずっと成績が良かったのです。
この結果を研究者達はこう説明しています。
『個人称賛』されて育った人は、人間の成功はもって生まれた才能のせいだという「固定概念」が生まれます。そして自分の才能が適切かどうかを気にして心配し、万が一、失敗するとそれは自分の才能のせいにしてしまう。さらには、自分が不適切な人間であると判明するのを恐れて、チャレンジすることをやめてしまう。
反対に『プロセス称賛』されて育った人は、人間の成功は努力や情熱によって自分の才能を伸ばすことによってできると思っているので、「成長志向の姿勢」になります。そして能力の向上に欠かせない向上心が生まれる。
このことから「褒めて伸ばす」ためには相手の努力や情熱などの『姿勢』を褒めることがポイントであることがわかります。
「君は優秀だな!」と褒めるより、「一生懸命で素晴らしい!」と褒める方が、その人の成長志向を強化することができ、努力と成長の向上サイクルを回すことができますよ。
参照
サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
- 作者:チャディー・メン・タン,ダニエル・ゴールマン(序文)
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2016/05/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)